外国金貨を買取ります!英国歴史と金貨の世界~ジョージ2世~

イギリスのハノーヴァー朝第2代目の国王であり、ドイツのハ選帝侯でもあったジョージ2世。即位期間は1727年6月22日から1760年10月25日まででした。外国出生である最後の英国国王であり、また1743年のフランス軍との戦いで連合軍として勝利をおさめたオーストリア継承戦争のデッティンゲンの戦いに参戦、戦争に参加した最後の英国国王でもあります。英国のアンティークコインの世界。父との確執や息子の死、様々な家族問題を乗り越えたジョージ2世の生涯ジと発行された記念コインについてお話いたします。

実母と会えない幼年期、父ジョージ1世の離婚と母ドロテア

ハノーファー

1683年11月9日、のちジョージ2世となるジョージ・オーガスタスは、カレンベルク侯ジョージ・ルイスとその妃であるソフィア・ドロテア・オブ・ツェレとの間に誕生しました。ハノーファーで生まれたジョージ2世は、外国出身の最後のイギリス君主として知られています。ジョージ2世には3歳の時に妹が生まれました。

しかし、この兄妹は幼くして母ドロテアと生き別れになります。1694年に、母のドロテアがスウェーデンのケーニヒスマルク伯と不倫をしたことが明るみとなり、父と離婚させられてしまったからです。ドロテアは子どもたちと会う権利を奪われるだけではなく、その身をアールデン城に死ぬまで幽閉させられるという罰も与えられたのでした。

以降、兄妹は母に会うことなく育つのですが、この出来事があったことからジョージ2世は父をひどく恨むようになります。

母と離れ離れになったのち、ジョージ2世は父方の祖母であるソフィアに育てられました。この時、家庭教師のヨハン・ヒルマール・ホルシュタインから、ドイツ語やフランス語、英語を学びますが、特に積極的に学んだ戦術学が後の戦争において役立つことになります。1701年のイングランド議会でジョージ2世の祖母ソフィアとその子孫をイングランド、スコットランド、アイルランドの王位継承者にすると定めたため、ジョージ2世は父に次いで第3位の王位継承順位を与えられました。

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ジョージ2世の結婚は?アウデナールデの戦へも参戦!

1705年9月2日、ジョージ2世は祖母の後見で知り合った、ブランデンブルク=アンスバッハ辺境伯ヨハン・フリードリヒの娘キャロライン・オブ・アーンズバックと結婚します。実はジョージ2世にはこの結婚の前にホルシュタイン=ゴットルプ公と死別したヘドヴィグ・ソフィア・アヴ・スヴェーリエとの縁談も持ち上がっていたのですが、彼女に断られたため破談しています。

結婚後、ジョージ2世は対仏戦争に参加することを望んでいましたが、父に反対され望みは叶いませんでした。父が反対した理由は、ジョージ2世の後継者となる男の子が生まれるのを待っていたからとされています。
1707年2月に第1子のフレデリック・ルイスが生まれると、ジョージ2世はようやく戦場に出ることを許されます。
スペイン継承戦争における1708年のアウデナールデの戦いでは騎兵隊を指揮して参戦し、イギリス軍総司令官のマールバラ公ジョン・チャーチルに戦いぶりを賞賛されました。その後、1709年から1713年にかけて、ジョージ2世とキャロラインとの間に3人の娘が生まれています。

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父ジョージ1世との確執、そして王位継承へ

ジョージ2世

ウィキペディア(Wikipedia)より画像引用

1714年、父がグレートブリテン国王に即位しジョージ1世となりました。それと同時にジョージ2世には皇子である証としてプリンス・オブ・ウェールズの称号が授与されました。
王位継承式ののち、ジョージ2世は妻と娘を連れてロンドンへと移りましたが、息子のルイスはハノーファーに取り残され家庭教師に育てられることになります。この時もジョージ2世とその父であるジョージ1世との間では仲違いが続いていましたが、それをより深めてしまう出来事が起こってしまいます。

1716年、ジョージ1世は6ヶ月の間、ハノーファーへ帰国していましたが、その間はジョージ2世が「王国守護兼総督」として父の代わりに国を治めていました。各地を訪れている最中にジョージ2世の暗殺を企てた事件が発生します。

ジョージ2世に被害はなく犯人も捕まりましたが、この出来事をきっかけにジョージ2世は国民からの人気を得ることになったのです。ジョージ1世はその人気を妬み、ますますジョージ2世を疎ましく思うようになります。

1717年にジョージ2世に次男が生まれました。この次男の名親を誰にするかでジョージ2世とジョージ1世は対立します。ジョージ1世は慣例通り、宮内長官であるニューカッスル公爵を指名しましたが、ジョージ2世はこれを拒否。このことに怒ったジョージ1世はジョージ2世とその妻キャロラインを宮廷から追放し、子ども達とも引き離しました。
しかし、このあと制限付きではあるもののジョージ2世夫妻は子どもたちと会うことが許されます。生まれたばかりの次男がわずか3カ月で亡くなるという悲しい出来事が起こるのですが、ジョージ2世は無事に息子を看取ることが出来ました。

宮廷を追われたジョージ2世はウエストエンドのレスター・ハウスに住まいを変えます。レスター・ハウスはジョージ1世の国政に不満を持つ者たちが集う場所となり、ジョージ2世は野党のロバート・ウォルポールなどに接近しました。
このウォルポールに促されジョージ2世は父と和解をすることになりますが、ウォルポールが取り計らった和解の内容はジョージ2世にとって納得できるものではなく、ジョージ2世はウォルポールに不信感を抱くようになりました。
ウォルポールはこのあとジョージ1世の政権に入閣することになります。この出来事の後ジョージ2世は政治活動から離れて妻とひっそりと生活を送りました。その間に新たに1人の息子と2人の娘をもうけています。

1727年、父ジョージ1世がハノーファーで急死します。ジョージ2世はグレートブリテン王とハノーファー選帝侯を継承することになりました。この時、ジョージ2世は父が亡くなったにもかかわらず葬式に出席するためにハノーファーへ帰国することはありませんでした。

ジョージ2世の金貨やメダルの発行

王位継承をした1727年に公式戴冠記念メダルが発行されました。メダルのデザインは表面が左向きのジョージ2世の肖像で裏面は王座に座り女神ブリタニアから王冠を授かる姿が描かれています。金メダルは発行枚数238枚、銀メダルは発行枚数800枚です。発行枚数が少ない希少なメダルです。

歴代のイギリス国王と同じようにジョージ2世の統治後に金貨が発行されました。ギニー金貨のデザインは表面が美しい巻き髪の頭上に月桂冠をつけたジョージ2世の横顔(左向き)で裏面は王冠を載せた紋様です。他のギニー金貨と一緒で品位は916.6/1000です。

SV925品位のクラウン銀貨も発行されました。裏側のデザインからローズクラウンとも言われていてコレクターにも人気のあるクラウン銀貨です。他にも金貨は流通用に発行されたのシリング銀貨などがあります。

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戦争に国王自らも参戦!後々再評価されたジョージ2世の治世

ジョージ2世による治世前期、グレートブリテン王国は平和で安定していました。これは第一大蔵卿であったロバート・ウォルポールの外交手腕によるものだとされています。ジョージ2世は父との和解の一件からウォルポールを不審に思っていましたが、妻のキャロラインの勧めもありウォルポールを大蔵卿に留任させることにしたのでした。
治世後期はオーストリア継承戦争や7年戦争など多くの戦争が起こり、グレートブリテン王国も参戦することになります。オーストリア継承戦争ではジョージ2世自らが軍隊を率いて出陣しフランスを破る活躍を挙げています。この戦争はグレートブリテン国王が直接指揮を執った最後の戦いとなりました。

推定王位継承者だったジョージ2世の長男であるフレデリック・ルイスは幼少期、家庭教師に育てられました。そして父ジョージ2世と14年もの間会うことがありませんでした。その後、ルイスがイングランドに渡り2人は顔を合わせますが関係は冷え込みます。
ジョージ2世が父ジョージ1世の政策に対して野党活動していたのと同様に、ルイスも父ジョージ2世に対して反抗するようになります。2人の間では、度々口論があったとされています。また、2人の不仲を印象付ける事件として、娘が産まれる前にルイスが妻を連れてジョージ2世のもとから逃亡するという出来事がありました。この事件の後、ジョージ2世はルイスとその妻を宮廷から追い出します。

ルイスは王位を継ぐことなく1751年に死んでしまいます。死ぬ間際もジョージ2世とルイスは仲違いしたままでした。この1751年の年末にはジョージ2世の最愛の末娘であるルイーズも亡くなります。このときジョージ2世は確執があったルイスも含め、息子と娘たちを愛しているという追悼の言葉を残したとされています。
その後、7年戦争が起こりますが、戦争の終結を見ることなくジョージ2世は他界します。こうして、様々な家庭の問題を抱えながら生きてきた76年にも及ぶ長い人生に幕を下ろしたのでした。

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